補聴器は私にとってのティアラ。

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補聴器は私にとってのティアラ。

女の子の憧れ、プリンセス。
シンデレラのように、澄んだ青いドレスを身にまとい、
満天の星空にも劣らない自分だけのティアラを頭に…。
補聴器は私にとってのティアラ。
聞こえないからこそ授かった、最高のアクセサリー。

 私の名前は「さくら」。読書やハンドメイド、カフェ巡りやゲームなどが大好き。今時の大学生活を送っている。自分の好きなことを徹底的にやるタイプで、社会や誰かから必要とされることをしているとき、価値を感じる。

 私は聞こえない家族の中に「聞こえる人」として生まれた。家族とは主に手話で話すが、口話も一緒に使っていたので「手話」と「日本語」はどちらも私にとっての大切な母語である。バイリンガル(手話と日本語)の私は英語も勉強している。マルチリンガルになる日も来ると思っている。

 聴力は遺伝するとも言われている。私が産まれた時、両親はかかりつけのお医者さんに「いつかは聞こえなくなるかもしれない」と言われたそうだ。私は覚えていないが、ちょうど1歳半ぐらいのころから段々と聴力が落ちてきたようである。物心がつく頃には、両耳の聴力を平均して87dBとなり、難聴者として生きていくこととなった。

 聞こえづらいということもあり、補聴器はいつも私のそばにあった。つけることや、他人に見られる事を躊躇したことはない。補聴器のイヤーモールド(耳栓部分)には沢山の色がある。その時の流行や、自分の好きな服の色などに合わせて、イヤーモールドの色を選んでいた。ある日何人かの友達がそれに気づき、「その色かわいいね!似合ってる!」と言ってくれた。また私の大好きな先生は「補聴器は恥ずかしいものじゃない。あなただけのもの。」と言ってくれた。その言葉で私は「補聴器は特別な人にしか付けられない特別なものなんだ!プリンセスにしか付けられないティアラのようなものなんだ!」と、まるでシンデレラに憧れる子どもの様に思っていたことを覚えている。「どんどん見せよう!どうだ!」という前向きな気持ちで、沢山の方々に私のティアラ(補聴器)を見てもらおうと思った。

 私はもともとハンドメイドが好きで、趣味でイヤリングやピアスを作っていた。そんなある日、難聴の友達が補聴器を髪の毛で隠している事に気付いた。理由を聞いてみると「恥ずかしいし、アクセサリーみたいに可愛くない」と言われた。補聴器カバーを薦めたが、付け外しが面倒だったり、スイッチがうまく入らなかったりすることがあったらしい。そこでふと海外でデコパーツ(デコレーションパーツ)という物があることを思い出した。その名の通り、補聴器を彩るアクセサリーのようなものである。いままでのハンドメイドの経験を生かして、まずは自分で作ってみる事にした。私自身も補聴器を使っている為、どうしたらつけ外しが簡単で、邪魔にならず、可愛いものができるかはすぐに思いついた。実際に作ってみたものをTwitterに載せるとたくさんの反響があった。これを機に「補聴器は恥ずかしいものではなく、補聴器を使って、生活を彩ろう!」というコンセプトで、メルカリのサービスを利用してデコパーツを販売している。デコパーツの存在をもっと多くの方に知ってもらい、「補聴器は可愛いものなんだ!特別な人にしかつけられないティアラのようなものなんだ!」という気持ちを味わっていただきたい。

 今は聞こえの程度も本当にバラバラで、色々なタイプがある。だからこそ、みな違った人生を歩んでおり、それぞれの経験をしてきている。聞こえに差があるからといって、関わることを躊躇してしまうことはもったいないと思う。”聴こえ”に関わらず誰もがお互いを刺激しあっていく社会がいいなと私は思う。

 最後に私から難聴の方々に向けてメッセージを送りたい。補聴器や人工内耳を恥ずかしいからと隠さないでほしい。あなたにしか付けられないものなのだから。補聴器や人工内耳を見せることは、あなたにとっても他の人々にとっても良いことだと思う。相手にあなたのことを理解してもらえるきっかけになるし、配慮などもしてもらいやすくなると思う。そして耳が聞こえない、聞こえづらいからといって、何もかも無意味だと決めつけ、行動する前から物事を諦めないでほしい。たくさん挑戦をしていってほしい。ハンデがあるのは耳だけ。他のことは何だって出来る。出来なかったとしても、あなたの人生を彩る忘れられない経験になるはず。

さくら/日々KIRA
 デフファミリーの生まれ。難聴者。高校三年生の時、先生からの言葉をきっかけに難聴に関わる情報を発信するブログを開設。同じ難聴者や聞こえない子どもを持つ親のヒントになればと願って現在も活動中。

*さくらさんのきっかけをつくった先生の言葉
「さくらさんが耳が聞こえないのは、その聞こえないことを生かす何かが出来るんだ。さくらさんにしか出来ないことを考えていくのが今のさくらさんの課題みたいなもんだね」。

各種SNSと補聴器デコパーツのオンラインショップ。
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日々KIRA/メルカリ:こちら

日本手話/日本語字幕付

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