重度難聴者として、信頼できる友達を持つ大切さ。
私はネパールのバグルン出身のカルパナ パン。重度難聴者。高校を好成績で卒業することができ、現在は大学三年で科学を専攻している。
中学校の最終試験の直前、突然両耳に激痛が走った。急いで病院にいくと、いくつかの薬を処方された。医者は「治るはずだよ」と声をかけてくれた。しかし痛みが消えることはなく、むしろ聴力がどんどん衰えていった。耳の痛みはやがて治まったが、聴力が徐々に低下し、高校生の高学年になると、先生や友達が言っていることを理解できなくなっていった。その事実を受け止めることができず、悲しく塞ぎ込むこともあった。これが、のちに私の人生を大きく変えてしまう理由となった。
私は幼なじみの親友であるシャバと一緒に大学に通い始めた。彼女は私がうまく聞こえない事を理解してくれて、授業の内容をノートにとってくれたり、先生の言っていることを伝えてくれたりしてくれた。彼女がいなければ、私はきっと学び続けることはできなかっただろうと日々思う。その後、ろう者の友達ができた。基本的なネパール手話を学ぶ機会となった。未だネパール手話をうまく使うことはできないけれど、将来的には習得したいと思っている。そうすれば、きっと、ろう者や難聴者のコミュニティで馴染みやすいと思うからだ。大学の聴者の友達も、私が必要なときはいつでも助けてくれて、皆と同じスピードで学ぶことができている。
これまで、難聴が原因でいじめや差別を受けたことはない。でも、親戚は私に、「聴覚障がいがあるから結婚相手が見つからないのか?いつ結婚するんだ?」などと平気で言ってくることに、私は心から苛立ちを覚える。今では笑って誤魔化しているけれど、聴力のことは全く関係ないと心の中では思っている。
以前は自分だけが苦しんでいるのではないかと思うこともあった。けれど今では私と同じ思いを持つ人がたくさんいることを知り、「一人ではないんだ」と思うことができている。将来は障がい者福祉に関わる仕事をしたい。
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