私たちの想い
現在世界のろう者・難聴者・中途難聴者(ろうあ者や盲ろう者を含む)の人口は約5億人と言われています。これは100人に6人の割合です。しかし、とりわけ日本では、聴覚障がいについてメディアが取り上げることや、学校教育で学ぶ機会は少ない現状です。ろう者・難聴者・中途難聴者について「知る」機会や「関わる」機会が十分でないことで、彼ら彼女らが生きづらいと感じてしまう場面が生じています。そして皆さんも、いざ彼ら彼女らに出会った時、何かしらの戸惑いやうまく関われない居心地の悪さなどの不和を感じたことがあるのではないでしょうか。
私自身、片耳の聴力がありませんが、そのことをあまりカミングアウトしてきませんでした。いや、したくても出来ない環境であったとも言えます。なぜなら「障がい」が馬鹿にされる世界で生きてきたからです。いままでの小学校や中学校を想像してみてください。きっと思い当たる節があるかと思います。当時の私は聞こえるふりをし、うまく話が聞こえていないのにまわりに合わせて笑っていました。時には、友達や先輩から、「無視された」と誤解を受けることもありました。とても悔しかったことを覚えています。ですがある日、私の障がいについて勇気を振り絞って友達に打ち明けたことがあります。友達の反応は
「そうなの?じゃあ私に何ができる?」
という、あっさりした、とても暖かい返答でした。私の抱えている問題についてしっかりと説明し、知ってもらうことで、お互いにいままでよりもコミュニケーションが取りやすくなった経験がありました。
ろう者・難聴者・中途難聴者はこれからも増え続けると予想されます。彼ら彼女らが皆さんと同じ社会の中で生きていることに気づき、手を取り合って共に笑いあえる世界を作っていってほしい。そんな願いを込めてこの団体「デフシル」を設立しました。ここでは、当事者のリアルなストーリーを多言語で発信し、彼ら彼女らと実際に関わり学び合うワークショップの機会を提供します。