心で引き合った「聴者」と「ろう者」

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心で引き合った「聴者」と「ろう者」

私の名前はサパナ・シャルマ。ネパールのバグルン出身で、聴者である。私の愛する夫はろう者。以前バグルンのろう学校でも働いていた。聴覚障がいのある人々は私にとって身近な存在である。

私たち夫婦のストーリーは、現代にありがちな交際や派手な出会いではなく、伝統的な方法で始まった。ネパールでは「配偶者は神様によって決められる」と言われている。わたしの夫もきっと神様が決めたのだと思っている。そうでなければ、今まで全く知らなかった人がどうして私の人生のパートナーになれるだろうか。私は彼のため生まれて、彼は私のため生まれてきたと思う。

スーリヤ(現在の夫)の名前をはじめて聞いたのは、私がまだ聾学校で教えていた頃。兄が、彼に一度会うように勧めてくれて、私も会ってみようと思った。その後、司書として働いていた彼がカトマンズから私に会いに来た。最初の出会いは豪華なレストランではなく、学校の広い遊び場だった。その時、私は彼に一目惚れをした。手話で静かに話している間、彼のエネルギッシュな性格や行動に本当に感銘を受けた。ネパールにはこんなことわざがある。「心が心を引っ張る」、私の心は彼の心に引っ張られて離れることが出来なくなった。

私たちは出会ってまもなく結婚した。ネパールの伝統的な結婚式を開いた。私たちの結婚後、彼は公務員試験(CSE)に再挑戦し、無事合格することができた。現在、彼はネパール銀行のシンドゥリ支店でアシスタントバンクマネージャーとして働いている。実際、私が彼と結婚した後、健常者の友達から「なぜあなたはそのような人と結婚したの?彼との人生は楽しい?彼はあなたを幸せにしてくれる?」と沢山言われた。私は驚いた。なぜ彼らは、最初から聴覚障がいが原因で満足な夫婦生活が送れないと思っているのか疑問だった。私はこの質問を受けるたびにしっかりと話し合った。聴覚障がいについて、私の知っている、思っていることを熱意をもって伝えた。きっと彼らは私の長いスピーチでクラクラしたに違いないと思う。最後はいつも「大丈夫、人の心配をする前にあなたが幸せになりな。」と言って、その場を静かに去った。

スーリヤが公務員試験に合格したことは、少し前に話したが、これは簡単なことではなかった。この合格は、彼の努力が周りから認められた瞬間であり、周囲との「障がいの壁」を乗り越えた瞬間でもあった。

もちろんCSEの合格は簡単なものではない。合格までに困難は沢山あった。彼はCSEのために熱心に勉強した。彼は筆記試験に合格し、最終面接に7回も選ばれたが、、最終面接後は毎回、聴覚障がいが理由で採用を拒否された。

しかし、彼は7回失敗したにもかかわらず決して諦めなかった。最後に、彼のその強い決意が神様に届き、8回目の最終面接で採用してもらった。私たちは、聴覚障がい者の皆さんに伝えたいことがある。夢は決してあきらめず、自分の能力を認めてもらうことを躊躇せず、自信をもって挑戦してほしい。

今、私たちは2歳の娘と一緒に幸せに暮らしている。私たちの出会いはとても静かだった。なので今もシンプルで静かな生活を続けている。

最後に、ろう学校の元教員として聴覚障がいに対してまだ否定的な態度をとる社会にメッセージを送りたい。私は、聴覚障がい者にに対してまだ否定的な態度をとっている社会へメッセージを送りたい。

聴覚障がい者も健常者と同じようにそれぞれ強みや能力がある。彼ら彼女らを哀れむ必要はない。だから様々な機会を与え、励まし、一緒に社会を創っていく仲間として接してほしい。彼らは皆さんと同じように勤勉に働くこともできる。社会の誰もが、できる限り彼らを共存できるように努めてほしい。今の時代、ほとんどの地域に通訳サービスがあるだろう。あなたも躊躇せずに聴覚障がい者と話し、関わり、学びあっていってほしい。

日本手話/日本語字幕付

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